移ろいゆく大きな流れ
対応する惑星:木星
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
運命の輪は空の上に浮かび、カードの四隅には灰色の雲に乗った四聖獣が描かれています。
翼のある人間、ライオン、牛、そして鷲は、それぞれキリストの弟子であるマタイ、マルコ、ルカ、ヨハネの象徴です。
彼らは福音書の記者でもあるため、四聖獣が手元に広げているのも聖典ではないかと思われます。
さらに、四聖獣(四福音書記者)は万物を構成する四大元素に相当するという説もあり、翼のある人(マタイ)が風、マルコ(ライオン)が火、ルカ(牛)が土、ヨハネ(鷲)が水を象徴すると言われています。
このことから、人々の行いや運命は常に大いなる存在に把握されていると解釈できます。
衣装や小物
運命の輪には「R」「O」「T」「A」と思われる文字とヘブライ文字が記されています。
これは「TARO(タロット)」の文字を入れ替えたものです。
大アルカナ2番『女教皇(女司祭)』の持つ巻物にも「ROTA」という文字が見られますが、これもやはりアナグラムではないかと言われています。
また、ROTAの間に挟まれているヘブライ文字は聖四文字と呼ばれるものです。
それぞれアルファベットの「Y」「H」「V」「H」に相当し、つなげて読むとヤハウェ、つまりユダヤ教の唯一神の名前をあらわします。
このことから、運命のなりゆきは神の手に委ねられており、すべての生命は自分の力では抗うことのできない大きな流れの中にいるのだと解釈できます。
人物と共に描かれているもの
運命の輪には人物は描かれていません。
しかし、運命の輪の上には剣を持ったスフィンクス、そして寄り添うように蛇とアヌビスが描かれています。
スフィンクスとアヌビスはどちらもエジプトを起源とする神聖な存在です。
そのため、共に描かれている蛇もエジプト神話における破壊や厄災の神セトではないかという説や、ギリシア神話に登場するテュポーンではないかという説もあります。
さらに、スフィンクスもエジプト神話の天空神ホルスであるという説も見られます。
このように、運命の輪はタロットカードの中でも特にミステリアスで象徴的なカードです。
さまざまな説を取り入れ、象徴を読み解きながらイマジネーションを膨らませるのも楽しいかもしれません。
いずれにせよ、運命の輪に描かれている象徴がいずれも神聖で、人智を超えた存在であることは間違いないでしょう。
このことから運命とはときに不可抗力的で、予測したり回避したりすることは誰にもできないと解釈できます。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・思いがけないチャンスや幸運に恵まれる
・物事がとんとん拍子に進む
・運命的な出来事、人生の転機
・幸運を掴むために行動を起こす
Negative(逆)
・不運や逆境に見舞われる
・思いがけない展開に振り回される、骨折り損のくたびれ儲け
・チャンスを逃す、日の目を見ない
・自らの運命を受け入れ嵐が過ぎ去るのをじっと待つ
解釈の一例
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解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。