純粋な心から生まれる大いなる力
対応する星座:しし座
絵柄の解釈
ここではライダー版(ウェイト版、ウェイト・スミス版)の絵柄を元に描かれている人物やモチーフを解説します。
背景・ロケーション
女性とライオンの背後には青い山が描かれています。
大アルカナ6番『恋人(たち)』にも描かれているように、山は困難や障害の暗示です。
『恋人(たち)』と異なるのは、青い色で塗られているという点です。
青は希望や平和、神秘、冷静などを象徴します。
西洋絵画では特に人気の高い色で、宗教画や聖像においても聖母マリアの衣装を青で描いた作品が多く見られます。
このことから山は単なる障害ではなく、修行の場や精神的な拠りどころと解釈するケースもあるようです。
衣装や小物
カードに描かれた女性は白いドレスに袖を通しています。
西洋絵画における白は純粋さや高潔な精神の象徴です。
大アルカナ2番『女教皇(女司祭)』や3番『女帝』、14番『節制』もやはり白い衣装を身にまとっています。
人物と共に描かれているもの
女性とともに描かれているライオンは、赤い色で塗られています。
赤は情熱や本能を象徴するほか、警戒色として用いられることもあります。
ただし、女性が口をおさえつけているため、ライオンが暴走することはありません。
とはいえ、女性ひとりの力でライオンを封じ込めることができるとは考えにくいでしょう。
そこで、注目したいのが女性が頭上に頂くレムニスケートです。
大アルカナ1番『魔術師』にもレムニスケートは描かれていますが、これは人智を超えた超自然的な力や神の力の象徴です。
つまり、女性は天から授けられた力をもってしてライオンを手懐けているのです。
また、女性の腰から伸びた花づなはライオンにつながっているように見えます。
女性とライオンは完璧に独立した相容れない存在ではなく、何らかのつながりを持っているのです。
このことから「女性=純粋な愛情や貞淑」と「ライオン=獰猛な本能や暴力性」が同居する状態をあらわしているとも解釈できます。
カードの意味
ここでは占いの解釈に正逆位置を取り入れない場合も考慮し、あえてカードの意味をポジティブ、ネガティブと表記しています。
正逆位置を取り入れる場合はポジティブな意味を正位置、ネガティブな意味を逆位置と考えてください。
Positive(正)
・愛情と誠意をもって歩み寄る
・相手の心を開き信頼関係を築く
・敵意や対立するつもりがないことをアピールする
・不屈の精神でやり遂げる
Negative(逆)
・相手に媚を売って取り入ったり、利用したりする
・信頼関係の構築を諦めて相手を見限る
・割り切った関係やしたたかな立ち回り
・志半ばでギブアップしてしまう
解釈の一例
恋愛
+ じっくりと腰を据えて向き合う、時間をかけて愛を育む、固い絆で結ばれたパートナー、辛抱強い愛、思いやり
− 実る前に投げ出した恋、馴れ合いの関係、愛情が冷める、終わった恋をいつまでも引きずる、相手の顔色をうかがう
仕事
+ 高いハードルを乗り越える、パートナーやスポンサーに恵まれる、長期の案件に携わる、最後までやり遂げる
− 仕事に身が入らない、協調性に欠ける、根気や気力が続かない、野心があっても実力がともなわない、課題が残る
状況・性質
+ 信頼関係、足並みを揃える、ポジティブシンキング、不屈の精神、努力家、逆境をチャンスに転じる
− 気持ちがバラバラで連帯感がない、ネガティブ、逃げ腰、辛抱強さに欠ける、より大きな力にねじ伏せられる
解釈に迷ったときは
ここに記したカードの解釈はあくまでも一例です。
同じカードでも、相談者の状況や占者により解釈は異なります。
自分の解釈に自信がないときや、他の人の解釈も聞いてみたいというときはプロに相談するのもひとつの方法です。
占い師紹介
島谷実郷(しまや みさと)
占星術師・タロット占い師。 探偵事務所調査員や納棺師、ライターなどの職業を経て2017年『占い処 十一時屋』を設立。 2020年5月島根県へ移住。 現在は松江市や出雲市を中心に対面鑑定を行うかたわら、チャットやSNSを利用したオンライン鑑定も受付中。