職業体験記―おくりびと編 3 納棺師になりたい理由・続ける理由

納棺師を志す理由は人により様々ですが、家族や親族の葬儀で実際に納棺師の働く姿を見たことがきっかけで納棺師という仕事を知った人は多いようです。最もこれも表向きの志望動機かも知れないので、実際のところは分かりませんが……。

元々葬儀屋さんに勤めていて、下請けとして出入りしている納棺師の仕事を見てやってみたいと思い始めたという人もいます。

おくりびとを見て……という人もぼちぼちいるようですが、あまり長続きしないという話も……。何しろ現実とのギャップが……こう……。

前職もバリエーション豊かで、サラリーマンに美容師にバンドマンにADに……葬祭業に関する専門学校に通っていた人もいれば、特殊メイクの勉強をしていた人もいます。

入って来る人も多ければ、辞めていく人も多いのがこの仕事の特徴です。確かに体力勝負な面があるので、定年まで現役で続けられるような仕事ではないのですが……残る人はいつまでも残ります。

では、何故この仕事に拘り続けるのか。考えられる理由は、

 

1.やりがいがある

この仕事を続ける最大にして唯一の理由と思われます。ご遺族からの反応や感謝の言葉をダイレクトに受けられますし、中には泣いて喜んでくれる人もいます。ご遺体も決して綺麗な状態の方ばかりではなく、長患いでひどく痩せてしまったり、何ヶ月~何年という単位でお風呂に入れなかったり、全身が血や体液に塗れている場合だってあります。そんな方々をお手当てして綺麗な服に着替えさせて、まるで眠っているように穏やかな表情に整えられた時などは非常に達成感を覚えます。

 

2.つぶしがきかない

これは……もう「この仕事以外出来ることがない」という状態ですね。何しろ納棺師として得た技術を、他の仕事に生かせるとも思えませんし……。辛うじて同業他社か、葬儀社に就職できるくらいかな……。そうやって技術が流出してしまうのは、会社としては困ることなんだけどね……。

 

3.辞めている場合じゃない

多忙過ぎて辞めるタイミングすら掴めないというパターン。主に責任感が強すぎる人が陥りがちなやつです。お手当てをして湯灌もしてメイクもばっちりで納棺も済ませている、でもお通夜は一週間後みたいな案件が度々入ってきます。ただしご遺体の状態も刻一刻と変化しているので、どんなにその時最善と思われる処置を施しても、後で顔色が変わってきたり、体液が漏れてきてしまったりという場合も多々あるのです。「あの時の人どうしたかしら」「あの時の人状態変わってないかな」と延々気にしていると、どこで抜けるべきかも分からなくなってしまいます。何しろ依頼は毎日入ってくるので、切れ間がない。でも、こういう理由で辞められない人は、何だかんだでこの仕事が好きで留まっているような気もします。

 

何だかポジティブな理由よりもネガティブな理由が多くなってしまいましたが、逆に辞める理由となると、そりゃもう山のようにあり、しかも内容もネガティブを極めます……。