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手紙のはなし

駆け出しライターのブログです。

職業体験記―おくりびと編 2 納棺師に向いている人

就職または転職を機に「そうだ、おくりびとになろう」という人は少ないと思われます。そもそも納棺師という職業の認知度が低いので、仕方がないのかも知れませんが……。仕事の内容も人を選ぶので、従業員の出入りも激しい。そんな理由で納棺業者は慢性的に人手不足です。
エンバーマーは専門学校に通ったり資格を取得する必要がありますが、納棺師に免許は要りません。強いて言うなら運転免許くらいでしょうか。必要な技術や知識は現場に出ているうちに身についてきます。
ただし、資格は要らなくても、資質は必要かも知れません。どんな仕事でもそうですが、納棺師になれたとしても、長く続けられるかどうかはまた別の話になってきますので……。
という訳で、個人的に納棺師に向いていそうだなーと思う人の特徴を、以下に纏めてみました。


心身ともに丈夫
納棺師の仕事は不規則です。盆も正月もありません。依頼があれば早朝だろうが深夜だろうが飛んで行きます。繁忙期には食事をとる時間も満足に確保できないかもしれません。また、たとえ相手がその日初めて会ったとしても、深く悲しんでいる人と向き合うのは、なかなかに神経をすり減らします。遺族の心に寄り添うことは勿論大切ですが、自分の仕事を客観視できることはもっと大切になるかと思われます。


車の運転が上手
移動はほぼ車を使うことになります。ご遺族の自宅でご遺体の処置や納棺式を行うことも頻繁にあるので、複雑に入り組んだ住宅街を通ったり、自宅に至るまでの道が極端に狭かったりなんてこともざらにあります。勿論どんな状況下だろうと、会社の車や自宅の敷地にあるものに傷をつけてはいけません。もっとも、仕事をこなしているうちにどんどん上達してくる場合もあるので、最初は下手だったとしてもそれほど絶望することはありません。


力持ち
体の手当てや着替え、湯灌、納棺など、ご遺体を持ち上げるシーンは頻繁にあります。しかし決して軽い人ばかりではありません。納棺師として働いていると結構な確率で腰や膝を痛めます。ただしこれも、仕事をしているうちに持ち上げやすい位置や姿勢が分かってくるし、必要な筋肉もついてくるので、あとは気合いとか根性論的な何かでどうにかならないこともありません。ただし既に体を痛めている人は、更に悪化する危険も……。

 

手先が器用
目や口を閉じて表情を整えたり、死化粧(ラストメイク)を施す際、手先が器用だと要領を掴むのも早いかも知れません。ただ、不器用だからといって向いていないわけではありません。元がド不器用でうまく行かなくても、その都度先輩に指導を仰いだり、アドバイスを参考に実践を重ねて行くうちに何となく慣れて行きます。(体験談)


遺体を見て、触ることができる
当り前じゃないかと思われるかも知れませんが、実際に一度故人と対面してみるまで分からないことでもあります。私が初めて現場へ見学に行った時に言われのですが、故人を一目見て大丈夫な人は、現場を重ねるうちにどんどん慣れて、状態のよろしくないご遺体でも処置を施せるようになる。逆に無理だと思った人は、その後どんなに現場へ出ようとご遺体に慣れることはなく、どんどん苦手になって行く一方だそうです。(例外もあるのかも知れませんが、そういう説もあります。参考までに……)

 

努力や慣れで乗り越えられる部分も多々ありますが、最後のひとつだけは本当に、資質の問題ではないかと思います。